ご挨拶

第40回日本小児外科学会秋季シンポジウム 会長

第40回日本小児外科学会秋季シンポジウム 会長
田中 潔

北里大学 小児外科

このたび、一橋大学一橋講堂(東京都千代田区)において、第40回日本小児外科学会秋季シンポジウムを開催させていただくこととなりました。伝統ある秋季シンポジウムを開催させていただくことは、誠に光栄であるとともに、大変身の引き締まる思いでございます。

今回のテーマは「少子化時代における小児外科医育成」です。
日本の年間出生数は1970年台前半の第2次ベビーブームにおける209万人から右肩下がりに減少し、2023年には73万人を割りました。少子化の進行には歯止めがかからない状況です。一人の小児外科医が経験する患者数も当然減少しています。その中で、我々小児外科医は社会に対し質の高い小児外科医療を提供し続ける必要があります。
今回のテーマは、将来の日本の小児外科医療にとって、また、将来の小児外科医療を担うこれからの小児外科医にとって喫緊の重要なテーマです。施設の垣根を超えた教育システム、地方の特殊性、小児外科施設や小児外科医集約化の是非や取り組み、海外の育成システムや海外での手術経験、オフザジョッブトレーニング、ワークライフバランスを担保した小児外科医のキャリアパス、内視鏡外科技術認定医と小児外科専門医・指導医との両立、いまだ先がみえない日本専門医機構専門医制度、アカデミックサージャン育成や学生・初期研修医を小児外科に引き込むための教育の工夫、等について議論を進めたいと思っています。
さらに、4月から本格始動された医師の働き方改革も小児外科医の経験数減少や小児外科診療の質の維持に大きな影響を与えると考えられ、その対策に関しても議論が必要です。
現在進行中の対策・対応のみならず、抱えている問題点の表出や日本小児外科学会に求めること、あるいは理想論を語っていただいてもかまいません。また、若手小児外科医からの多くの演題応募を期待しています。“シンポジウム”ではございますが、パネルディスカッションのように、大いに議論を戦わせていただければ幸いです。

なお、今回のポスターデザインをアーティストの菊池あしな様にお願いしました。円を描いている暖かで優しい笑顔が見つめる目線の先には、中性子ラジオグラフィーで可視化した宇宙創造の空間をイメージした蓮が描かれています。蓮を、ボーダレスな環境で新たな命を誕生させることのできる空間と捉え、未来をポジティブにワクワク創造する医療がコンセプトとなっています。このポスターのように、未来の子ども達が暖かで穏やかな笑顔でいられるよう、今回のシンポジウムが明日の小児外科医療の進むべき道標になれば幸いです。

未来の小児外科医療のために、できるだけ多くの方々に現地参加していただき、活発な議論に加わっていただければありがたく存じますが、現地参加がかなわない方々のために、Webでのライブ配信も予定しております。皆様のご協力をいただいて、実り多い秋季シンポジウムになるよう準備を進めてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

第43回日本小児内視鏡外科・手術手技研究会 会長

第43回日本小児内視鏡外科・手術手技研究会 会長
小野 滋

京都府立医科大学 小児外科

第43回日本小児内視鏡外科・手術手技研究会の会長を拝命いたしました京都府立医科大学小児外科の小野滋でございます。

この伝統ある研究会の当番会長を仰せつかり大変光栄に存じます。今年もPSJM2024として田中潔会長の第40回日本小児外科学会秋季シンポジウムとの合同開催となっており、令和6年10月24、25日の2日間にわたり、一橋大学一橋講堂で開催させていただきます。

研究会のテーマは、『小児外科手術の継承と創造〜Bridging Old & New』といたしました。これまで師匠から弟子へ、教室の先輩から後輩へ、そして多くの先達から受け継いで学んできましたことをしっかりと理解し継承することと、さらに創意工夫して新しい手技(手術治療)を創り出すことで、こどもたちにより良い治療を提供することが大切であります。個別の手術手技や疾患に関する主題は設けておりませんので、小児外科領域全般にわたり、これからの小児外科医療を背負う多くの若い先生方とともに、故きを温ねて新しきを知る、まさにBridging Old & Newの意義をこの研究会を通じて学んでまいりたいと思っております。

なにとぞ学会員の皆様のご参加、ご発表、そして活発なご討論をお願い申し上げます。

第53回日本小児外科代謝研究会 会長

第53回日本小児外科代謝研究会 会長
加治 建

久留米大学 外科学講座小児外科部門

このたび、伝統ある第53回⽇本⼩児外科代謝研究会を開催させていただくことになりました。伝統と歴史ある本研究会の会長を務めさせていただくことはこの上ない光栄と感じております。

今回の研究会では「腸管不全の治療をupdateする」をテーマにいたしました。腸管不全、中でも短腸症候群の治療は、長年の小児外科医の努力により、生命予後は大きく改善してきました。具体的には残存小腸が10cm未満でも救命できるようになりましたが、腸管自律をどのように目指すかという新たな課題も出てきたと感じています。静脈栄養が長期に及ぶことで、腸管不全関連肝障害(IFALD)、静脈栄養関連肝障害(PNALD)やカテーテル留置に伴う合併症(CRBSI)は未だ治療に課題を残しています。その中、2017年からグルカゴンライクペプタイド2(GLP-2)アナログ製剤の治験が始まり、2021年8月には保険収載され、臨床経過などの報告数も増えてきました。さらに、小容量製剤が発売されたことで、体重10kg以下の児にも投与可能になり、新たな知見が得られるのではと期待しています。

腸管不全症例は単施設での経験は限られているので、GLP-2アナログ製剤の投与症例だけに限らず、静脈栄養カテーテル管理の工夫、漁油由来あるいは混合脂肪乳剤の使用、プレ、プロ、シンバイオティクス、腸管延長術、小腸移植の経験などを発表していただき、経験を共有することで参加者の今後の治療の手助けになればと考えています。

また、新生児、乳児期のミルクアレルギーや学童期の炎症性腸疾患など、小児外科医が代謝、栄養管理、外科手術で関わる疾患も増加しているためディスカッションしたいと考えています。

2024年2月吉日

第34回日本小児呼吸器外科研究会 会長

第34回日本小児呼吸器外科研究会 会長
臼井 規朗

大阪母子医療センター 小児外科

このたび、一橋大学一橋講堂におきまして、第34回日本小児呼吸器外科研究会を開催させていただくことになりました。歴史と伝統ある本研究会を担当させていただく機会をいただき、誠に光栄に存じます。

今回の主題は『無症候性の先天性嚢胞性肺疾患 ー手術適応と適切な手術時期・術式の再考ー』です。近年、先天性嚢胞性肺疾患の分類や疾患概念に見直しが行われ、従来CPAM Type2と呼ばれてきた肺の嚢胞性病変は、気管支閉鎖症や肺分画症の胎児期の気管支樹の閉塞に伴って生じる二次的な変化という概念が定着してきました。一方、胎児超音波検査の進歩と普及に伴って、先天性嚢胞性肺疾患の出生前診断例は増加の一途をたどっています。出生後に何らかの呼吸器症状を呈する症例の治療方針に大きな議論はありませんが、ますます増加している無症候性の先天性嚢胞性肺疾患症例を新たな疾患概念で捉えると、手術適応をどのように考えるべきか、適切な手術時期や術式はどうあるべきかについて再考すべき時期が来ていると感じています。新生児期に症状がない先天性嚢胞性肺疾患に手術が必要な真の理由は何か?また、その手術はいつ頃、どのような術式で行うのが適切なのか?新たな疾患概念に基づいて、皆さんで議論していただきたいと考えています。

研究会当日は、例年同様病理学的検討も交えて、嚢胞性肺疾患のみならず様々な小児呼吸器外科疾患について多角的に議論していただき、今後のより良い小児呼吸器外科診療に向けた議論ができればと考えています。ハイブリッド形式ですが、できるだけ多くの方々に現地参加して議論していただきたいと願っています。皆様のご協力を得て充実した研究会になりますよう準備してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

第80回直腸肛門奇形研究会 会長

第80回直腸肛門奇形研究会 会長
渕本 康史

国際医療福祉大学 小児外科

このたび、第80回直腸肛門奇形研究会の会長を務めることを大変光栄に存じます。今回は第40回日本小児外科学会秋季シンポジウムと共催し、PSJM2024の一環として開催いたします。第40回日本小児外科学会秋季シンポジウムの会長である田中潔先生には多大なるご尽力を賜り、心から感謝申し上げます。

今回の研究会のテーマは「中間位・高位鎖肛の長期排便機能 -術式別比較-」です。直腸肛門奇形(鎖肛)は新生児外科領域で最も一般的な疾患の一つです。その治療は、20世紀半ばまでは生命を救うことに重点が置かれていましたが、1953年にStephens/Smithが提唱した恥骨直腸筋の重要性に着目した(腹)仙骨会陰式手術から排便機能の改善に焦点が移りました。その後、1982年にPenaが後方矢状肛門形成術(PSARP法)を、2000年にはGeorgesonらが低侵襲性を考慮した腹腔鏡補助下腹会陰式肛門形成術(LAARP)を提案いたしました。これらの手術は排便機能と低侵襲性を重視したものであり、手術の進化と改良を重ねてきた賜物です。今回は、これらの手術方法を考慮した長期的な排便機能の評価を中心に議論したいと考えております。

また、低位鎖肛の長期排便機能や特殊な病型、合併症、術後管理の方法、治療が難しい症例など、鎖肛に関する幅広いトピックについても演題を広く受け付けております。

新型コロナウイルス感染症が5類に移行してから時間が経ちましたが、今回もハイブリッド形式の学術集会を予定しております。多くの皆様からの演題応募をお待ちしており、有益な研究会となることを心より願っております。

第28回日本小児外科漢方研究会 会長

第28回日本小児外科漢方研究会 会長
小川 恵子

広島大学病院 漢方診療センター

このたびはPSJM2024において第28回日本小児外科漢方研究会を開催する機会を与えていただき、心より感謝申し上げます。小児外科出身で漢方医学を専門とする身としましては、嬉しく感じるとともに、ご指名くださった会員の先生方に深謝いたします。

今回の研究会では、テーマを「あなたの漢方、一歩先へ」としました。小児外科における漢方医学の適用は年々多くなり、日常診療から難治性疾患まで様々な局面で、漢方医学が役立つようになりました。卒前教育にて漢方医学を学んだ世代が医師となる時代になりました。世代間交流も含めて、実りある議論を行う機会にしたいと考えております。

要望演題としては
1. リンパ管奇形の漢方治療戦略
2. 漢方治療による栄養戦略
3. 小児がんサバイバーに対する漢方治療戦略
の3つとしました。また、小児外科診療で可能な、漢方診察方法について特別講演を行う予定です。
その他、小児外科疾患と漢方医学に関する演題を広く募集いたします。
ふるってご応募いただきますよう、よろしくお願いいたします。

漢方医学は一人ひとりに合った治療を目指す個別化医療です。そのため、症例報告が多く、その一つ一つを大切にして熱い議論を行うことで見えてくる内容も多々あります。皆様にお越しいただき、活気のある学術集会となることを心より願っております。